あきほ整骨院の本棚から 五冊目
- 一雄 秋穂
- 3月27日
- 読了時間: 3分
「整体法の実際」全生社
昭和52年9月25日初版発行 野口晴哉

5頁
「いま生きている人間だけでも、何十億人かいるのです。だから一人一人を指導していたのでは、我々の数が現在の千倍になっても、なお足りないのです。誰れかの力を借りなければ丈夫になれないというような考え方のまま行えば、世界中の半分の人が医者になってもまだ足りない。
結局はいつになっても、医者の数が足りないとか、薬がないから治らないとかいうことは止まない。それよりも、一人一人が自分の裡なる生命の精妙な働きを自覚し発揮すれば、人の力を借りないでも丈夫になれるのです。これが整体の考え方であります。」
野口整体を教えてくれたのは、青井整骨院西小山院で勤務していた竹原さんだったと思う。歳は私のひとつ上で均整学園を卒業した療術家だった。兎に角、気功やら遠隔ヒーリングやら怪しげな療法を好む面白い人だった。確か明大中野で貴乃花と同じクラスだったと話していた気がするけど、あの世代は怪しい整体師との縁が強い世代なのであろうか。でもおかげさまで先生の著書に出会えたのはありがたいことだった。
野口晴哉先生は整体の技術者としても一流なのであろうが、実際に施術に触れた経験がない。しかし著書を読むとカウンセリングや心理療法家としてのスキルが素晴らしかったのだろうと思う。特に問題点の抽出とその意識付けが最高に気持ち良い。著書を読んでいるだけで自分も再現可能なのではないかと錯覚する。今でも野口整体の信奉者が多数おられるのも頷ける。
私としては野口晴哉先生のユーモア溢れる人柄が滲み出た文章が好きで、読んでいるだけでもワクワク楽しくなる。旅行前に旅行ガイドを読んで楽しむのと近い感覚だと思う。書いてある内容をちゃんと理解出来ているのかと問われると、理解力の乏しさが心底悔やまれる。
この本の内容ではないが、同じく晴哉先生の著書「風邪の効用」の中に足湯を解説する部分があるので紹介してみたい。晴哉先生ほどの整体のスペシャリストが「足湯をすれば体の歪みは取れる。」と言うのだから確かに真理なのだと思う。是非皆さんも試してもらいたい。
でも整骨院にもたまには来てね。
風邪の効用

80頁
「体に疲労があったり、異常があったり、風邪を引きそうになったりするとその適温が上がります。
適温を調べなくとも、スッと出てくると体が赤くなったり赤くならなかったりというムラが出来ている。体全部が赤くならない。特に片足が赤くならない、そういう時は風邪を引いているのです。意識しなくとも、もう風邪を引いて発病前なのです。だから風呂から出て来て、体を拭いた後で足を見て、片方が赤くなっていなかったら、赤くならない方だけもう一回何分か湯の中に突込んでおけばいい。だいたい入浴温度より一度から二度上げて二分間入れて両方を揃えるというのが風邪の場合の足の温め方です。」
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